院長 熊谷 隆元(くまがい りゅうげん)

とにかく歯医者にとられる時間を少なく。
困ってくる場所にしたくないんですよね、出来るだけ笑顔で来て笑顔で帰ってほしいですね。

先生、ご出身は?

青森のむつ市です。下北半島ですね、半島の先端はマグロで有名な大間ですね。
大学は福島にある奥羽大学です。
その後、弘前大学医学部附属病院の歯科口腔外科で研修医として2年半勤務し、そのあと勤務医として勤めました。

どんな子供時代でしたか?

おとなしい感じでした。
小中は卓球、高校はテニスやっていました、ラケットを使う球技が好きでしたね。

なんで歯医者さんに?

親戚に何人か歯医者がいました。
元々プラモデルとか細かい作業が好きだったので、向いているかな、と。
歯科は細かい作業が多いですし、大雑把な仕事だと取り返しのつかないことになってしまうこともあるので。

どのタイミングで口腔外科を志したのでしょうか?

口腔外科は、症状の重めな患者さんが多いのです。
感染症の強い方、ガンの方(有病者歯科)、骨折の方・・・命に関わる領域の最低限の対応が自分で判断出来る技術と知識を身に付けたいと思って、口腔外科を選びました。
口腔ガンなどを見過ごしたら大変なことになります、患者さんが命を失わないで済むように出来るといいなと思って。
自分の手技(しゅぎ:手で行う治療)や知識が足りなくて、間違った処置をしてしまうことが怖かったので、正しい対処法を学びたかった・・・「こういう人が来たらどうしよう」と、頭が真っ白になるのが一番怖かったんですね。
経験を積ませてもらいたい、と思っての口腔外科です。

なるほど。新橋はバリバリ働いている方が多いというイメージなのですが。

そうですね。
お顔がパンパンに腫れてくる方、親知らずが腫れている方、お仕事を夜遅くまでやっていて家の近くの歯医者に行けない方が「何とかしてほしい」ということで来院されますね。
そんな時も判断がすぐ出来るので、経験が活きていると思いますね。

・・・親知らずで腫れて頬がパンパンって、痛いですよね。

大変ですね。
お顔もボコッとなっていて口が開かないなど本当に重症だと、飲み薬の抗生物質だけじゃなくて点滴じゃなきゃダメだなという方もいます。

点滴はここで出来るのですか?

出来ないので、大学病院や関連の病院に紹介します。
点滴をした方がいいのか?しなくてもいいのか?の判断が出来ます。
慈恵医大病院に紹介することが多いですね。

このあたり、地元の方はいるのですか?

基本的にはお仕事で通っている方ですね。

ご自身も口腔外科に詳しく、且つ口腔外科指導医の先生がいるということで鬼に金棒ですね。

難しい親知らず抜歯や、難しいインプラントをお願いします。
当院では、お話し(問診)をしっかりして検査をして、正しく診断します。
正しい診断をしないと、正しい治療が出来ません。

なるほど。では、治療の内容のトップ3は?

虫歯、歯周病、歯が欠けたでしょうか。
食いしばりや歯ぎしりも、土地柄なのかすごく多いんですね。
頬っぺたとか見ると「ずっと食いしばっているんだろうな」「口に力が入っているんだろうな」と思います。

頬っぺたを診ると分かるんですか?

頬っぺたやベロをみると、食いしばっている方特有の跡があるんですよ。
頬っぺたにも歯型が付くんですよね。
食いしばると頬の筋肉が盛り上がるので、頬の粘膜が歯に押しつけられるんですね。

食いしばると頬の筋肉が盛り上がる?

空気を飲むことでより陰圧が掛るので、より頬っぺたが押しつけられるんですね。
新橋では、それがない方の方が少ないくらいですね。
前の勤務先では、ない人の方が多かったのですが・・・。
お仕事のストレスだったら、対症療法としてマウスピースをして、歯が割れないコントロールが必要かなと思ってやっています。

歯ぐきも歯周病でまっ赤でパンパンで・・・疲れて免疫力が下がっているんだろうなという方もいます。
夜7時に治療に来てそのまま仕事戻りますという方もいますしね、頭が下がりますね。
自分のお口の状態まで気が回ってない方が多いので、1回歯医者に来て診てもらった方がトータルの負担は少ないと思います。

トータルの負担が少なくなる?

はい、

歯は急に痛くことがあるので、仕事に支障が出ることもあります。
3か月に1回定期健診にお越しになると年4回来ることになるのですが、虫歯の痛みがで出から治療するとも数か月間来院しなければならないので、トータルで見ればクリーニングで来てもらった方が歯医者に取られる時間が少なくてすみます。

それにプラス、歯を失うリスクも減るの、そういう話してご理解いただいて、お仕事が忙しい中でもメンテナンスに来ていただくようにしています。

3か月に1回来て小さい虫歯が見つかれば治療は1回で済みますが、神経までいっちゃうと3か月くらい掛かります。
「何もないから来ない」じゃなくて、「何も起こらないように来る」。
その方が余計に忙しくならないです。
後悔する人もいっぱいいらっしゃいますしね。

予約、夜は取れます?

確かに夜を希望される方は多いですね。
昼過ぎだと会社の経営者の方とか、15~16時だと飲食店が開く前に働いている方が来ます。
夜はバタバタしますが、メンテナンスでは出来るだけリラックスしてもらえるようにやっています。

夜の予約が多いのは土地柄ですね。

お仕事の途中でいらっしゃる方も多いですね。
昼休みも来てくださいますね。
治療回数も少なくて済むように、1回の治療で出来るだけ進められるように、歯医者さんに来る回数と時間が少なくて済むための機材を揃えながらやっています。
時間休を使ってくる方もいますし、重めの治療だと有給を取る方もいます。

来院理由は、「急に痛くなった」「詰め物が取れた」が多いです。
すぐに対応できるようには極力していますが、「ちょっと待つけど大丈夫です」と仰ってくれる方が大半なので助かっています。
何かあったらサポートしますが、急なことを少なくするためにメンテナンスに来ていただくのがいいですね。

セラミックやジルコニアなどの白いかぶせ物は虫歯の再発予防になるので、かぶせ物は保険外(自費)を治療される方が多いです。

どうしてセラミックやジルコニアが、虫歯の再発予防になるのですか?

汚れが付きづらい=バイ菌が付きづらい、また技工物(ぎこうぶつ:かぶせ物や詰め物)の精度もいいからです。
歯と技工物を付ける「セメント」の質もいいので、銀歯で治すよりは再発しづらいですよとお話ししたら「だったら」と選んでいただく方も多いですね。

かぶせ物は自費(保険外)が多いのですか?

「再発したくない」「お口の中に金属が見えるのが嫌だ」という方も多いですし、お仕事的に銀歯が見えるのはイヤだからと選ぶ方もいます。
これからマスク外して、どんどん口元が見えるようになってきますから(インタビューは2023/3/7)余計に選ばれる方が多いですね。

歯に対しての意識が高い方が多い?

はい、デンタルIQ(歯と口の健康への関心や意識)も高いですね。
あと、ホワイトニング、インビザライン(※)矯正もニーズがありますね。

矯正もやっているんですね!

矯正の先生に、月1回来てもらっています。
見た目も大事ですが、歯の矯正は予防的にも大事です。
歯並びがキレイだと、汚れがたまりづらくなります。
虫歯を繰り返されている方は、歯並びが大きな影響を及ぼしているなと思うことがあります。
磨き残しやすい歯並びだと虫歯が再発しやすいので、虫歯を治す根本的な解決法として矯正を考えてもらうのがいいかなと思います。

「歯並びを治したい」のページへ

インプラントは?

西原先生(日本口腔外科学会認定医・指導医、インタビューはこちら)が来るようになってから、インプラントを希望される方が多いですね。
入れ歯はイヤだなという方が多いですね。
歯を失ったときの治療の選択肢として、入れ歯/ブリッジ/インプラントがあるのですが、お話しするとインプラントがいいという方が多いです。

インプラントを希望する方の年代は?

40~50代が多いですね。

指導医ってどんな意味合いなのですか?

歯科医師に指導をしている先生、ということです。
当院は、高度な口腔外科治療が短い待ち時間で出来ます。
入口から診察室も10歩くらいですし、物理的にも近いですよね。(笑)
インプラントや抜歯などの口腔外科といわれる領域は、大学病院に行くとすぐにやってもらえないし、手続きや待ち時間を含めると1日仕事になりますよね。

そうなんです、大学病院や大きな病院は時間が掛かって大変です。(汗)

大学病院で親知らずを抜くために紹介状を書いてもらって行ったら、3~4か月掛かったという話を聞いたことがあります。
ココだと西原先生の手に掛かればその月に抜けちゃうんで、いいなと思います。
早いし、上手だし、いいと思います。

歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)、歯の再植、という治療法があることを、先日の西原先生のインタビューで初めて知りました。普通、知らないですよね。

どちらも「やっていませんか?」と患者さんに聞かれることがあります。
自分で調べてくる方もいて、情報が早いです。
保険で出来る白いセラミックのかぶせ物(CAD / CAM:Computer aided design/Computer aided manufacture:キャドキャム、コンピュータを利用して制作する技工物)も、保険で出来る事を分かってリクエストされます。

ただ、総合的に判断して明らかに割れますよというケースもあり、その場合は出来ないですよとお話しすることもあります。
情報は玉石混合で・・・保険で白い歯にするのは全部の歯には出来ないんですよ。
出来る歯と出来ない歯があります、しかも保険改定で毎年変わります。
仕組みがちょっと複雑なので、直接聞いてもらった方が確実ですね。
「白いかぶせ物にしたい」はこちら

保険で白く出来る歯の範囲が、アップデートされていくんですね。

保険でやりたい気持ちは分かるんですが、向かない場合もあるんです。
また保険内の治療の白い歯「キャドキャム」と「銀歯」と比べると、銀歯の方が歯を削る量が少ないんです。

キャドキャムの方が歯を削る量が多い?どうしてですか?

キャドキャムで作った白いかぶせ物は、厚みがある程度ないと割れてしまうからです。
金属の方が強度は強いし、薄くできます。

使う場所が奥歯かどうか、噛みしめ具合、歯の弱り具合によって「これは銀歯じゃないと無理だな」という方もいます。
「削りたくない」ということがメインで、保険で選ぶなら銀歯の方が良い場合もあります。

判断基準が複合的ですね・・・。

はい、希望通りにできるとは限らないです。
総合的に判断するので、一緒に相談して決めていきましょう。
同じように、マウスピース矯正の「インビザライン」もできる方とできない方がいます。
僕たちの「診査」と「診断」をもって選んでいただくことになるかなと。
「希望を叶えること」と、「言いなり」になることは違います。

なるほど。今度はホワイトニングについて教えてください。

ご自宅で行う「ホームホワイトニング」も、当院で行う「オフィスホワイトニング」、どちらもやっています。

歯医者さんでやるオフィスホワイトニングはおいくらですか?

上下8本、合計16本、1時間で2万円です。
ビヨンドというメーカーのものです。

何回来ればいいのですか?

1回か2回です。
一生モノではないので、色が変わったら再度ホワイトニングをして継続される方が多いですね。
「ホワイトニング」と「ヤニ取り」と皆さん同じと思っていらっしゃるんが、違います。
「ホワイトニングがしたい」のページへ

ヤニ取りの需要は多いですか?

タバコを吸っている方も多いですし、お仕事中ずっとコーヒー飲まれている方もいるんで。

コーヒー!着色の原因になりますか?

はい、コーヒーはステインが付き、着色の原因になります。
ホワイトニングをする前に、ヤニ取り・歯石取り・ステイン除去をして、まず歯自体をキレイにする必要があります。
「ホワイトニングしてほしい」と来院されても、むし歯があってできないという方もいます。

虫歯があると、ホワイトニングが出来ないのですか?

虫歯がある状態でホワイトニングの液を入れたら、すっごい痛いです。
ですので、ホワイトニング希望で来院されて当日にホワイトニングが出来るとは限らないです。
もし虫歯のままやったら激痛でしょうね、麻酔して痛み止めを飲んでも痛いでしょうね。
ホワイトニング施術は、あらかじめ希望日より早く来てもらって、お話ししてからですね。

なるほど。予防と治療の割合はどうでしょう?

今は治療が多いです。
でも、予防で来ている患者さんはずーっと来てくれています。
転勤にならなければ、1回メンテナンスで来ていただけるとずっと来ていただいています。

開院当時から来てくださっている方もいる?

結構いらっしゃいます。
開院当時から来てくださっている患者さんも結構いらっしゃいます。
「歯科検診を受けたい」のページへ

顎関節症(がくかんせつしょう)は?

多いですね。
食いしばり、噛みしめからくる顎関節症が多いですね。
ナイトガードというマウスピースの処方がすごく多いですね。
保険で3000円くらいで出来ます、1週間もあればできます、急げば翌日渡せる場合もあります。
歯ぎしり食いしばりは、日中は意識すれば何とか防げますが、夜の食いしばりは無意識なので防げないですよね。

自分で「私、食いしばっていますよね?」「歯ぎしりしていますよね?」とくる方はいるのですか?

いないですね。
「家族から指摘されて」「歯ぎしりがうるさい」という理由で来る方が多いです。
また「朝起きた時にアゴが痛い」からネットで調べたら、「歯ぎしり食いしばりが原因」と出たからと「そうかもしれない」とくる方もいます。

何はともあれ、患者さんご自身がネットで調べてくる方が多いんですね。

今「わからないから全部先生にお任せで」という方は、ここらへんにはいらっしゃらないです。(笑)

感染対策は?

コロナは口腔粘膜にいるということなので、最初来てもらったらリステリンでうがいしてもらいます。

もともと感染対策していましたが、そこにプラスオンしてやっています。
具体的には、パーテーション、非接触の体温計、アルコール清浄などです。

感染対策や衛生管理は、どのようになさっていますか?

当院ではすべてグローブ(手袋)、コップ、エプロン等はディスポーザブル(使い捨て)です。
今回ホームページで感染対策にどんなことをしているかをお伝えしています。
医院側としては当たり前すぎてお伝えしてなかったのですが、患者さんにお話しすると「そうだったんですね!」と言われることが多かったので、皆さんに知っていただこうと思いました。

なるほど。今度は口腔外科指導医の西原先生について教えてください。どんな先生ですか?

信頼できますよね。
口腔外科に関しては何をお願いしても大丈夫と思っています。
インプラントや親知らずの難しい症例やでも安心してお任せできます。
診断がしっかりしているので、インプラントが出来る人にはできる、出来ない人にはできないとハッキリ言います。
患者さんも「この先生が出来ないというなら」と納得され、自信をもって入れ歯にしましょうと言えます。

リクエストに応えてくれる先生=いい先生ではないんですね。医院の雰囲気は?

アットホームです。
メンテナンスの時もそうですけど、患者さんとおしゃべりしたり。
ピリピリした感じはないですね。
しっかりと実力のある歯科衛生士さんがいますし、自分で判断できない事があれば相談してくれます。

患者さんの男女比は?年齢層は?

だいたい半々ですね。
40~50代がボリュームゾーンですね。

推していきたい治療?

予防ですね。
虫歯の治療も出来るだけ金属を使わずに、虫歯の再発がしづらいように。
歯周病や虫歯が悪化しないように、歯の矯正をしてセルフコントロールが出来るようにするのも一つの手段です。

とにかく歯医者にとられる時間を少なく。
痛くなってから来る場所にしたくないんですよね、出来るだけ笑顔で来て笑顔で帰ってほしいですね。

休みの日は何をしていますか?

3歳と1歳の子供と遊んでいます。
最近、いちご狩りに行きました。

どこまで行かれたんですか?

埼玉県の越谷です。
実は、結構いちご狩り農園が多いんですよ。

印象に残っている患者さんは?

お口の中がボロボロの患者さんが来て、全部セラミックになってニコニコして帰っていくと嬉しいですね。
そこまでお口の中に興味なかった方が、お話をして、お口の健康を保つことの大切さを気付いてもらって、悪くなりづらい治療をしっかり選んでもらって、「ありがとうございました」と帰ってもらえるのは歯医者冥利に尽きます。

患者さんにメッセージお願いします!

口の中の事って自分じゃ分からないですし、悪くなってから来るともっともっと歯医者さんが辛くなってしまいます。
歯医者を辛い場所にしてほしくないという気持ちがすごく強くあるので、悪くなる前に一回来てもらって、お口の中を診てもらって、自分のお口はどういう状況かを知ってもらいたいなと思います。
今は、歯医者さんが病気になってから行く場所ではなくなってきています。
病気になる前に行く場所に、どんどん変わってきています。
昔の「虫歯になったら治す、歯周病になったら抜く」ではなく、「できるだけ虫歯にならないように、歯周病にならないように・・なったとしても傷は浅く、歯も自分の歯をできるだけ残す」というのが主流になり、怖い場所じゃなくなりつつあります。
新橋にありながらとてもアットホームな医院なので、ホッとしに来てもらえると嬉しいです。

取材後記

歯医者がどうして怖い場所なのか?
「どうしてもっと早く来なかったんですか?」と先生に怒られる。
「治療中に痛いのに『痛い』と言えない、我慢しなきゃなならない」
どうして痛いのに痛いと言えないのか?
先生が怖いから、高圧的だから、でしょうか。
熊谷先生はとっても優しいです、宮沢賢治じゃないですが、いつも静かに笑っているイメージです。
新橋で戦うサラリーマンがどれだけ癒されてきたのか想像できます。

また、新橋で働く人たちの都合を考えて、「どうしたら負担にならないだろう?」「どうしたら来やすいだろう」ととても謙虚に考えている感じがヒシヒシと伝わってきました。

※)インビザライン(インビザ)・マウスピース矯正(この文中でもすべて):完成物薬機法対象外の矯正装置であり、医薬品副作用被害救済措置の対象外になることがあります。保険適応外の治療です。